<コメント>気になる展示。中村は東大寺の寺侍の家に生まれるも明治維新で没落。曽爾村で教師などをしつつ、機会を見て京で洋画を学ぶ。ここでフランスから帰国した黒田と出会い、西洋滞在が長かった黒田清輝に日本の日常を手ほどきする。東京芸術大学の草創期の洋画科を黒田を補佐し「白馬会」を立ち上げ、終生、行動を共にする。白馬会出品の作品は黒田の外光派をよく反映するが、独自の水彩作品で身近な植物や風景・風俗を描きアールヌーボーを吸引した葉書デザインなど、明治の洋画の外光を支えた緻密な大和出身の絵描きの画業で近代史を裏打ちする感がある。
内容は以下。  

特別展
中村勝治郎

―明治美術の光彩の中で
Katsujiro NAKAMURA :A Retrospective- under the brilliance of Meiji Art


2011年4月9日(土)〜5月22日(日)
午前9時〜午後5時(金・土曜日は午後7時まで)
入館は閉館の30分前まで)

         【主催】 奈良県立美術館   【共催】NHK奈良放送局 

  中村勝治郎(1866-1922)は現代の奈良県奈良市に生まれました。京都

で洋画家・山内愚僊に絵の手ほどきを受けた後、フランス留学から帰国間も
ない黒田清輝と知り合ったことから、美術団体「白馬会」の結成に参加した同
展で出品を重ねる一方、東京美術学校で黒田の補佐を務めるなど、近代日本
美術史に確かな足跡を残しました。とりわけ黒田との親しい間柄は黒田の書
簡や日記を通じて知られており、それらは当時の美術界の動向を伝える貴重
な証言ともなっています。

  しかしながら国内外で活躍する同時代の画家たちの中にあって、美術教
育の現場で終始したかのように見える中村の存在は画壇で脚光を浴びるこ
ともなく、また展覧会出品作をはじめとする代表作も多くは残されていないな
どから、これまでその人となりはもとより作品についてもまとまって紹介される
機会はありませんでした。

中村勝治郎像 中村勝治郎 1902年 油彩・板
初の回顧展となる本展は、中村の油彩画約80点をはじめ、水彩画や鉛筆画、美術資料などを展覧しその画業を

顕彰いたします。