ばさら初日
毎日新聞
大安寺旧境内:鎌倉時代の軒瓦出土 13世紀の塔修理で使用?−−奈良 /奈良
 南都七大寺の一つである大安寺旧境内(奈良市東九条町)の東塔跡で、鎌倉時代の軒瓦(のきがわら)が多数出土した。26日発表した同市教委によると、13世紀中ごろに同寺と東大寺の長である別当を務めた宗性(そうしょう)が塔の修理を実施しており、その際に用いられた瓦とみられる。史料に残る塔の修理の具体的な姿を示す資料になるという。

 瓦は塔跡東側に掘られた雨落溝から出土。「大安寺塔」や「大安寺寶塔(ほうとう)の銘があり、形態から13世紀中ごろのものとみられる。

 別当の活動を記録した「大安寺別当次第」などによると、宗性は鎌倉時代中ごろの1253年に大安寺の別当に就任。1260年には東大寺別当、1266年に再び大安寺の別当に就いた。1度目の就任時に東塔の修理を行い、2度目の時に南大門の修理や塔四面の大垣を築くなどした。今回出土した瓦はいずれかの瓦の可能性が高いという。

 このほか、東塔の基壇が地面を一度削って周囲より低くした後に築かれていることを確認。西塔は、より広い範囲を版築で盛り上げ、その後に基壇の形や階段を削り出しており、異なる築造方法を取っていたことも分かった。

 現地説明会は28日午前10時から。駐車場はない。【山成孝治】