http://www.nara-wu.ac.jp/kodai/tojosei/tojosei2013.pdf
写真上は大津宮を熱弁紹介する葛野氏、下は谷崎仁美氏(大阪文化財研究所)による難波宮出土瓦を用いた説明。
在地豪族の寺と百済王族の寺との係わりが薄いという政治的状況をほのまけした。
主催:奈良女子大学古代学学術研究センター
共催:都城制研究会(「大阪上町大地の総合的研究−東アジア史におけ
る都市の誕生・成長・再生の一類型−」研究代表:脇田修
科学研究費補助金「古代都城・都市をめぐる環境論」(研究代
表:舘野和己)研究グループによる以下の講演会、会場はいつもながら満席。
滋賀県文化財協会の葛野泰樹氏の[大津宮と寺院配置」は激動の東アジア世界の中で
国家の礎を固めようという天智天皇の労苦の跡を遺跡は、円錐型の壷笠山はじめ、四神に叶った地理的背景などで紹介。
防衛策として近江に疎開したという通説に意義を唱えつつ、通称「大化の改新」というクーデターの後、
22年後にして造営した大津宮は、古来、百済系渡来人が日本海ルートの外交チャンネルがあり、鉄資源、霊山、小野氏、犬上氏ら海人族とつながりを持つ土地。白村江の敗北後の国政整備と国力増強を目指したものとした。
この時期の白鳳寺院は68箇所が確認されており、大和の80箇所に次ぐ。国宝鎮壇具を埋納した崇福寺壬申の乱後に造営工事が中止されるが天武没後、持統天皇により再建され、のち、平城京遷都後も聖武天皇ら歴代天皇行幸天智天皇の政治的業績や手腕にあやかり、天皇と国家の安寧祈願、さらに山岳修験敵寺院への参篭を兼ねていたとした。


第7回都城制研究集会「古代都城と寺社」
日時:2013年2月16日(土)10:00〜18:00
会場:奈良女子大学文学部N棟202教室
あらまし
律令制下では、中央政府の元に左右兵衛府衛門府・左右衛士府などの軍事組織が置かれ、都城の警備
にあたった。しかし都城を守るのは、物理的な武力のみではなかった。たとえば藤原京の左京には大官大
寺が、そして右京には薬師寺天皇・国家によって造営され、平城遷都にあたっても、この両寺はほぼそ
の位置を踏襲して新都に移され、奈良の大安寺と薬師寺となった。このことに象徴されるように、国家は
都城に寺院を造営し、いわゆる鎮護国家の仏教によって、都城そして国家の安寧を祈願した。国家は、都
城とそこに基盤を置く天皇権力の安寧・永続を願うための宗教的装置を、準備したのである。
それならば、それらはいかにして成立し、いかなる様相・特徴を示し、またどのような変遷を辿ったの
だろうか。こうした問題関心から、昨年度の都城制研究集会は「古代都城をめぐる信仰形態」と題して、
中国や平泉も視野に入れながら、古代都城という場をめぐる信仰の諸形態を総体的に検討したところであ
る。しかし1度のシンポジウムで、全てを明らかにすることは無理である。
そこで今年も同じ問題意識の上に立って、仏教信仰と神祇信仰に絞って検討を加えたい。但し、都城
は基本的に神社は置かれなかったから、前者が議論の中心となる。そして昨年は十分に取り上げられな
かった、各都城遺跡における発掘調査の成果を踏まえながら、議論を行っていきたい。具体的には、難波
宮・大津宮平城京長岡京平安京、それに大宰府を検討対象として、各都城・都市遺跡で調査にあ
たっておられる方々にご報告いただき、議論を深めていくこととしたい。
プログラム
10:00〜10:10 開会のあいさつ
10:10〜10:40 「古代都城と寺社の関係−問題提起として−」舘野和己(奈良女子大学
10:40〜11:15 「難波における古代寺院造営」谷粼仁美(大阪文化財研究所)
11:15〜11:50 「大津宮と寺院配置」葛野泰樹((公財)滋賀県文化財保護協会)
昼食
13:00〜13:35 「平城京における大安寺」森下恵介(奈良市埋蔵文化財調査センター)
13:35〜14:10 「平城京と寺院」中川由莉(奈良女子大学博士研究員)
14:10〜14:45 「長岡京と寺院」古閑正浩(大山崎町教育委員会
休憩
14:55〜15:30 「平安京と東西寺・常住寺」網伸也(京都市埋蔵文化財研究所
15:30〜16:05 「大宰府と寺社」松川博一(九州歴史博物館)
休憩
16:15〜17:45 討論司会:積山洋(大阪歴史博物館
17:45〜18:00 閉会のあいさつ
主催:奈良女子大学古代学学術研究センター
共催:都城制研究会(「大阪上町大地の総合的研究−東アジア史におけ
る都市の誕生・成長・再生の一類型−」研究代表:脇田修
科学研究費補助金「古代都城・都市をめぐる環境論」(研究代
表:舘野和己)研究グループ
《問合せ先》
奈良女子大学古代学学術研究センター
〒630-8506 奈良市北魚屋東町
TEL:0742-20-3307(タテノ) FAX:0742-20-3779
E-mail:kodaigaku@cc.nara-wu.ac.jp
参加費無料・申込み不要です
ココ
奈良女子大学
会場は正門を入って右手の
建物の2階