夾紵・乾漆シンポジウム

平成21年、興福寺阿修羅像に日本中が沸きました。
 そして、奈良女子大学は今年、創立100周年を迎え、記念事業として、かつて教材として購入された文化財等の公開にむけて整理作業を進めています。
 これらの文化財のなかに、奈良県明日香村の牽牛子塚(けんごしづか)古墳から出土した夾紵棺(きょうちょかん)の断片があります。「夾紵」は東晋時代に造られ唐時代に盛行した漆技法で、興福寺阿修羅像に代表される「乾漆(かんしつ)」の源流です。そして同古墳出土の夾紵棺の断片には重要文化財に指定されたものもあり、大変貴重なものです。当センターでは、東洋漆工史研究会のメンバーである松尾良樹教授から、京都造形芸術大学の岡田文男先生に夾紵棺の科学分析をお願いしました。
 この分析結果を受けて、夾紵棺から阿修羅像や正倉院宝物へとつながる、古代の漆工芸の歴史と技法についてシンポジウムを開くことにいたしました。
 多くの皆さまのご参加をお待ちしております。

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●日程:平成21年12月12日(土) 14:00〜18:00

●会場:奈良女子大学 G棟 201教室(→大学内の地図)

●プログラム:
  ○開会挨拶


  ○発表
・  「牽牛子塚古墳出土の夾紵棺について」
  宮路淳子(奈良女子大学准教授)


・  「中国漆工史上の夾紵技法」
  松尾良樹(奈良女子大学教授)


・  「奈良女子大学所蔵牽牛子塚古墳出土夾紵棺の塗膜観察」
  岡田文男(京都造形芸術大学教授)


・  「阿修羅を中心とする奈良時代仏像の乾漆技法について」
  山崎隆之愛知県立芸術大学名誉教授)


・  「正倉院宝物中の夾紵作品について」
  西川明彦(宮内庁正倉院事務所保存課整理室室長)



 
★コメンテーター
    北村昭斎(漆芸家重要無形文化財保持者、人間国宝)
  鈴木喜博(奈良国立博物館学芸部上席研究員)


●  主催 : 奈良女子大学古代学学術研究センター
共催 : 東洋漆工史研究会
共催 : 『文化財に含まれる膠の自然科学分析による古代文化史および
    技術史の解明』プロジェクト(「異分野融合による方法的革新を目
    指した人文・社会科学研究推進事業」採択、代表:宮路淳子)


         入場無料 ・ 申込み不要

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●お問い合わせ先:
   古代学学術研究センター
    〒630-8506 奈良市北魚屋東町
             奈良女子大学コラボレーションセンター2F
    電話:0742-20-3779(FAX兼用)
    E-mail:kodaigaku@cc.nara-wu.ac.jp



  牽牛子塚古墳・・・奈良県明日香村にある終末期古墳。7世紀後半頃に築造されたと考えられます。対角長18.5m高さ約4mの八角形墳。墓室は巨大な凝灰岩をくり抜いた横口式石槨で、中央部に間仕切部を削り出す二室の複室構造です。古墳の位置などから斉明天皇と間人皇女の合葬墓と考えられています。夾紵棺の破片や七宝金具などが出土し重要文化財に指定されています。